隣人
昨日のことである。
夕暮れ迫る事務所で、私は後片付けをしていた。
パソコンの電源を落とし、電気も消して、玄関のカギを閉めに行った時、そこでそいつと遭遇したのだ。
雨で濡れてしまったために前日から出しっぱなしになっていたスリッパを、何気なく持ち上げたそこに。
「ひやぁああぁ!」
と、素っ頓狂な声を上げながら私は、自分がそんなことで悲鳴を上げられるんだ。と、どうでもいいことに感心していた。
多分、そいつはもっと驚いただろう。
あれがムカデというものなのだろうか。立派な赤いツノを備え、必要以上に足を生やした生物が、隙間というほどの隙間でもないスリッパの下でびちびちと動いていたのだ。
別に未知の生物というわけでもあるまい。
普段から、確かに嫌いなものの上位2つとして虫と行列を挙げているとはいっても、一人暮らしをしていた時分には一人でご○ぶりにも立ち向かった。
それがスリッパの下のムカデごときに、あんな大声を上げさせられるとは・・・
そういえば事務所の周りでは早くからウグイスが啼いていた。
この間は駐車場を立派な蜂が巡回していた。
さっき、ちょっとした用事で駐車場に行ったら端にほんの少し残っている土の上で、小さなこおろぎ(か何か)が元気に跳ねていた。
次はいったい、何に出くわすんだろう・・・・・
とりあえず、スリッパを履く前には一度、逆さまにして振ってみようと思う。